ネット小説「人生という物語を紡いでいく物語」第8話ードリームキラーという存在ー

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昨日はいつも通りの日々を過ごしてしまった。

今まではそれが当たり前だと思っていたけど、今は前に進むことを決めて夢を目指すことを決めた僕にとって苦痛な時間でしかなかった。

もちろんたまには良いのかも知れないが今はそんな気分になれない。

今思うと、こんな日々を毎日繰り返していたことを思い返すとゾッとする。そんな日々を過ごしていて、人生が大きく変わるわけもないし、良いことが起きるわけもない。

良いことが起きるのは運とか偶然で起きるものだと思っていたけどそんなことはありえない。

変わらない日々をただ過ごしている人に巡ってくる運やチャンスなんてないと思った。運が巡ってくる行動をしていないといつまで経っても変わらない。運が良い人はそれだけの行動をしているのだとつくづく思った。

そんなことを考えているうちに今日も仕事が終わり、今日も飲みに行くことになってしまった。

「朝倉。今日も飲みに行くぞ」

「はい。お願いします」

今日は自分が夢を目指していることを言おうと思った。そうじゃないといつまで経ってもこの生活から抜け出すことは出来ないし、ずっとこの上司から飲みの誘いを受け続けることになってしまう。それだけは避けなければいけない。

「今日もお疲れ。乾杯」

「お疲れ様でした。ちょっと今日はお話があるのですけど良いですか」

上司の話が始まってしまうと長くなってしまうので初めに自分の話をした。

「今までお世話になってきたのでとても言いづらいことなのですが、僕は将来小説家になりたいと思っています。なので、仕事しながらでも小説を書いていきたいのですが良いですか」

言ってしまった。実際言わないでも良いことではあるし、勝手に自分でやれば良いことかも知れないが、今までお世話になったのは事実だし、あまり邪魔もされたくないから僕的には言うしかなかった。

上司は少し間をおいてから話してきた。

「そうなのか。そんな夢があったんだな」

「はい、本気で目指していきたいと思っています」

僕は上司と真面目な話はあまりしたことがなかったのでかなり緊張している。なんて返事が返ってくるかとても不安であったが、その予感は的中した。

「お前はそんな小説家になって食べていけると思っているのか。お前はもう30歳なんだぞ、しっかり仕事して真面目に働け」

やっぱり言うんじゃなかったと思った。賛成されるなんて正直思っていなかったけど、それでも少しでも可能性があると思ったから話したのだが、それでも現実的にそうやって言われると心がざわつくとともに嫌な気持ちになった。

「はい、分かっています。もちろん小説家になって食べていくのは大変だと思います。それでも僕は本気で目指したいと思っています。だから残業もしないで飲みにいく日も減らしていきたいです」

「何を訳わからないことを言ってる。こんなに忙しいのに残業もなくして欲しいなんてバカなことを言うな。一生懸命仕事してお金貯めておけ」

この人に何を言っても仕方ないなと思った。何を言っても通じるわけはない。だって部下が仕事を真面目にしないけど雇ってくださいと言っているようなものなのだから仕方ないといえば仕方ない。

「それでも目指したいんです。今まで以上に仕事は真剣にやりますし会社にはちゃんと貢献したいと思っています。だからお願いします」

「目を覚ませ朝倉。どうせ目指したって無理なんだから趣味でやってれば良いじゃないか」

僕は心からこの上司に苛立ちを感じた。まだ目指してもいない夢に対してどうせ無理だからやめとけとどうして言えるのだろうか。確かに一般的にはそういう人が多いのかも知れないし、難しい夢なのかも知れない。それでも僕が本気でやりたいと言うものに対してその言い方はないと思った。

「わかりました。変なこと言ってすいませんでした。とりあえず趣味でやることにします」

「おう、分かればいいよ。とりあえず飲むか」

この人に何を言っても無駄だからこの場は納得して納める事にした。こんなことを言われているのに平気で飲みを続けるこの上司はどうかしてると思ったが、その上司と飲みを続けている僕もどうかしていると思った。

こうやってなんとなく争いごとを避けてしまう癖は本当に僕の悪い事だと思う。それでも強く言えない自分がいる。

こういうところも変えていかなければいけない。

あの本にも書いてあったが、これがドリームキラーというやつだろう。

夢を目指して今の環境を変えようと思っても、ドリームキラーと言ってその夢を潰しにくる人が必ずと言っていいほど現れる。

それはなぜなら、今の状況でいることが当たり前になっているから、今の状況から抜け出そうとしている人の足を引っ張って自分と同じような人を増やして安心したいのだ。

そんな人も今の状況が嫌だという感覚はあるのかも知れないが、そこから抜け出そうとは思っていない。

そして、自分のテリトリーを持っていてそこから抜け出そうとしても、またそのテリトリーに戻そうとする。

自分がただそこにいるだけなら良いのだが、人を引っ張って自分の仲間を増やそうとするのはとても厄介である。

とにかくドリームキラーと相手をしていてもいつまで経っても今の状況から抜け出すことは出来ない。

とりあえず、これからどうしていくか考えよう。

そんなことを考えながら今日の飲みを終えて、いつものように終電で帰宅した。

続きはこちら

ネット小説「人生という物語を紡いでいく物語」第9話ー日常はいつものように続いているー

ネット小説「人生という物語を紡いでいく物語」第7話ー日常が自分の心を現実へと引き戻すー

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